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マルチチャネルの自動出荷とは?物流プラットフォーム利用の問題点とその対策

FBAが日本に入ってから、自動出荷がもたらす事業効率の認知が広がりました。その結果、大手モールを中心に物流プラットフォームがいくつか生まれています。しかしながら、その多くがモール紐づきサービスとなっており、マルチチャネル(複数モール出店)するEC事業者には利用しにくいサービスとなっています。今回は、物流プラットフォーム利用の問題点とその対策について解説いたします。

モール系物流プラットフォームとは?

モール系物流プラットフォームとは、モールに完全連動して、自動出荷を実現できるフルフィルメントプラットフォームです。英語で実行、業務遂行といった意味を持ちますが、EC業務においては、受注、梱包、発送、受け渡し、代金回収、カスタマーサポートまでのバックヤード業務の一連のプロセスのことを指します。物流プラットフォームとは、フルフィルメントのうち、受注、梱包、発送、入荷、返品工程を持つサービスを指します。

モール系物流プラットフォームの種類と特徴

モール系物流プラットフォームは、モール出店企業向けに受注後、自動的に出荷が可能となる画期的なサービスです。しかしながら、競合となる他モールの出荷は難しいのが現状です。

独立系物流
プラットフォーム
対応ストア マルチチャネルの課題
FBA アマゾン ・OMSの自動連携が難しい。
・実質的に他モールの出荷は難しい。
RSL 楽天 ・3種類くらいのOMSのみ許可されている。
・実質的に他モールの出荷は難しい。
ヤマトフルフィルメント Yahoo!Shopping ・いくつかのOMSが対応している。
・実質的に他モールの出荷は難しい。
QXPRESS Qoo10 ・OMSの自動連携が難しい。
・実質的に他モールの出荷は難しい。

モール系物流プラットフォーム問題点

モール系物流プラットフォームは、数多くの荷主や大規模な荷主への対応が必要となるため、標準化されたサービスの提供となっている。そのため、柔軟性やサービスオプションなどに問題があり、利用できない荷主も多くなっている。特にマルチチャネルで販売している荷主は、現在、3PLの利用が多くなっている。

問題点 説明
マルチチャネルの自動出荷 他のモールやカートへ対応していない。
少ない物流サービスメニュー 大規模物流のため、 シンプルな物流サービスメニューのみしか対応できない。
独自の入荷ラベル貼付 入荷の際に、JANコード以外に独自バーコード貼付が必要な場合がある。
D2Cは対応不可 D2Cの自動出荷には対応しない。
定期通販に対応できない 複雑なチラシ、 販促物同梱制御に対応しない。
冷凍・冷蔵に対応できない 冷凍・冷蔵通販に対応しない。

独立系物流プラットフォームの問題点

独立系物流プラットフォームとは、主に国内のD2C市場拡大に対応して生まれた物流サービスです。 ShopifyなどのD2Cの自動出荷をメインとしていますが、小規模のEC案件の出荷やAPI連携による自動出荷など新たな課題に対応して、市場が徐々に拡大しています。最近では、冷凍・冷蔵や海外出荷に対応するなど対象を拡大させています。

独立系プラットフォームの課題として、「倉庫インフラの確保」があります。事業の拡大のためには、倉庫インフラの拡張が必要ですが、中小倉庫では、スペースや人材の確保に限界があります。そのため、多くの倉庫会社を活用しなければならなくなります。そのため、物流品質の維持という新たな問題が発生することとなります。

独立系物流プラットフォームの種類と課題

マルチチャネル出荷に対応するには、独自OMSの提供が不可欠となる。また、サービスレベルとして「あす楽」への対応も不可欠となります。

独立系物流
プラットフォーム
対応ストア マルチチャネルの課題
オープンロジ Shopifyなど ・独自にOMSの提供がないので、 OMSを別料金で利用してAPI連携しないと利用できない。
・外部OMSを利用した場合、 商品マスタの2重管理など手間がかかる。
ロジモプロ Shopifyなど ・独自にOMSの提供がないので、 OMSを別料金で利用してAPI連携しないと利用できない。
・外部OMSを利用した場合、 商品マスタの2重管理など手間がかかる。
サイバーロジ Shoify, 楽天、Yahoo、Amazon ・独自のOMS提供、 すぐにマルチチャネル出荷が可能でOMS料金も不要となる。

マルチチャネル自動出荷対策について

マルチチャネルに最適化された物流プラットフォームとは、どのようなものでしょうか?
それは、物流プラットフォーム自身がOMSを提供することではないでしょうか?これにより本当意味で自動出荷が可能となります。商品マスタの2重管理も不要となります。

新たな独立系物流プラットフォームご紹介

OMS+WMSを同時提供する独立系物流プラットフォームがリリースされたので、概要をご紹介いたします。
「サイバーロジ」というサービスで、OMS+WMSの提供に加えてRPAも提供されているため、受注処理の自動化も可能となる最新型の物流プラットフォームです。オプションのEOSを利用するとさらに発注推奨データが自動作成され、ABC分析や在庫日数分析など在庫最適化分析も可能となり、EC企業のBSやキャッシュフローの改善も可能となります。

RPA機能付きOMSとは?一般的なOMSとの違いとメリット

労働力不足が顕著となり、ホワイトカラーの生産性向上が叫ばれ、各業界でRPAの導入が進んでいます。しかしながら、ECの事務処理は特殊であり、一般的なクラウド型RPAを利用するのが難しいのが現状です。
ECの受注処理を自動化するには、OMSにRPA機能を実装するのが最も理にかなったやり方であると考えられます。

”それでは、RPA機能付きOMSとはどのようなものでしょうか?”

受注処理業務プロセスを可視化すると以下のようになります。

  1. ① 
    Condition(複合条件チェック)
    ・ある条件(複合的条件)に該当するかチェックを行う。
  2. ② 
    Data Processing (データ自動加工)
  3. ③ 
    Action(処理実行)

”確認待ち機能プロセスとの違いとはどのようなものでしょうか?”

  1. ① 
    Filter(単一条件チェック)
  2. ② 
    Stop(確認待ち停止)
  3. ③ 
    Human Power(人間の目視確認及び手作業データ修正)

単一条件の停止のみが機械の仕事です。それ以外は、すべて人間が行わなくてはいけません。いわゆる半自動化と言えると思います。

”一般的なOMSに比べたメリットとは?”

1日に200件の人力受注処理が必要な場合、1件3分と仮定すると600分=10時間が必要となります。こちらをロボット化できると1日10時間の事務処理作業が不要となります。ロボット化することで、ヒューマンエラーや属人的な業務からの解放効果があります。人手不足の現在、こちらの需要の方が多いかもしれません。

まとめ

いかがでしたか。物流プラットフォームは、自動出荷が実現され非常に便利なサービスですが、マルチチャネル出荷に弱みがあることが分りました。これは、やはり競合モールの物流はやりにくいという点が原因でしょうか。
一方、独立系物流プラットフォームは、D2C用に最適化されたサービスで、マルチチャネルには不向きであることが分ります。独自のOMSが提供されていないため、商品マスタの2重管理など運用の手間が発生してしまいます。

最近、OMSやRPAを内蔵した先進的な物流プラットフォームが誕生しています。マルチチャネルの自動出荷サービスとして検討に値するサービスと考えられます。